カラタネオガタマ (唐種招霊[ 4] 、学名 : Magnolia figo )は、モクレン科 モクレン属 に属する常緑樹 の1種である。別名トウオガタマ (唐招霊)。オガタマノキ属 に分類されることが多かったが(Michelia figo )[ 4] [ 5] 、2022年現在ではふつうモクレン属に分類される。花にはバナナ に似た強い香りがある。中国 東南部原産であるが、日本などでも庭や神社に植栽されている。
特徴
常緑 小高木 から低木 であり、高さ2 - 5メートル (m) になる[ 4] [ 5] (下図2a)。樹皮 は灰褐色[ 5] (下図2b)。枝 や芽 、葉柄 などに褐色から黒褐色の立毛が多い[ 4] [ 5] 。
葉 は互生し、葉柄 は長さ2 - 4ミリメートル (mm)[ 4] [ 5] 。葉身 は倒卵状披針形から楕円形、4 - 10 × 1.8 - 4.5 センチメートル (cm)、全縁 、基部はくさび形から広くさび形、先端は尖り、葉は光沢がある[ 4] [ 5] (上図2c)。
花期は日本では5 - 6月(原産地では3 - 5月)[ 4] [ 5] 。直径 2 - 2.5 cm で黄白色の花 が葉腋に1個ずつつく[ 4] [ 5] [ 6] (上図3)。花の寿命は短く、1 - 2日[ 6] 。花被片 は1.2 - 2 × 0.6 - 1.1 cm、ふつう6枚、萼片 と花弁 の分化はなく全て花弁状、ふつう黄白色で縁など一部が紫紅色を帯びる[ 4] [ 5] (紫色やワインレッドの園芸品もある[ 7] )(上図3)。雄しべ は多数、長さ7 - 8 mm、紫色を帯び、葯隔 は突出し尖る[ 5] [ 6] (上図3)。雌しべ は離生心皮 、多数、長さ 6 mm[ 5] 。雄しべ群と雌しべ群の間に長さ 7 mm ほどの柄がある[ 4] [ 5] (上図3b)。花はバナナ に似た強い甘い香りがし[ 4] [ 5] [ 6] 、その匂いの主成分は酢酸イソブチル である[ 8] 。
果期は日本では10 - 11月(原産地では7 - 8月)、個々の雌しべ は球状の袋果 となり、それが集まった長さ 2 - 3.5 cm ほどの集合果 を形成し、裂開して種子 を出す[ 5] 。染色体 数は 2n = 38[ 5] 。
分布・生態
原産地は中国 東南部[ 3] 。世界中の熱帯 から暖温帯 域で植栽されることがある[ 5] [ 1] 。日本へは江戸時代 に渡来したといわれる[ 4] 。
人間との関わり
原産地である中国では「含笑花」とよばれる[ 5] 。日本では別名として「トウオガタマ」ともよばれ[ 4] 、また花にバナナ のような匂いがあるため「バナナノキ」とよばれることもある。
世界各地で観賞用に植栽されており、園芸品種も作出されている[ 5] (上図1f)。日本では、オガタマノキ と同様に、神社 に植えられていることも多い。耐寒性がやや弱く、霜が降るような場所では生育不良となる[ 6] [ 10] 。乾いた寒風を嫌い、日なたから明るい半日陰、やや湿り気のある水はけのよい肥よくな土壌を好む[ 6] [ 10] [ 11] 。目立つ病虫害は知られていない[ 11] 。
薬用とされることもある[ 5] 。
カラタネオガタマの花言葉 は「甘い誘惑」である[ 7] [ 10] 。
分類
カラタネオガタマはオガタマノキ属 (Michelia )に分類されることが多かったが(Michelia figo )[ 4] [ 5] 、2022年現在ではふつうモクレン属 に分類される(Magnolia figo )[ 1] [ 3] 。モクレン属の中では、オガタマノキ節(Magnolia section Michelia )に分類される[ 2] 。
カラタネオガタマの中には、以下の変種 が提唱されている。
脚注
出典
^ a b c d e f g GBIF Secretariat (2022年). “Magnolia figo (Lour.) DC. ”. GBIF Backbone Taxonomy . 2022年2月11日 閲覧。
^ a b Wang, Y. B., Liu, B. B., Nie, Z. L., Chen, H. F., Chen, F. J., Figlar, R. B. & Wen, J. (2020). “Major clades and a revised classification of Magnolia and Magnoliaceae based on whole plastid genome sequences via genome skimming”. Journal of Systematics and Evolution 58 (5): 673-695. doi :10.1111/jse.12588 .
^ a b c d e f “Magnolia figo ”. Plants of the World Online . Kew Botanical Garden. 2022年2月10日 閲覧。
^ a b c d e f g h i j k l m n 勝山輝男 (2000). “カラタネオガタマ”. 樹に咲く花 離弁花1 . 山と渓谷社. p. 385. ISBN 4-635-07003-4
^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t Flora of China Editorial Committee. “Michelia figo ”. Flora of China . Missouri Botanical Garden and Harvard University Herbaria. 2022年2月10日 閲覧。
^ a b c d e f “カラタネオガタマ ”. みんなの趣味の園芸 . NHK出版. 2022年2月11日 閲覧。
^ a b “カラタネオガタマの花言葉 ”. LOVEGREEN. 2022年2月5日 閲覧。
^ 東浩司 (2004). “モクレン科の花の匂いと系統進化”. 分類 4 (1): 49-61. doi :10.18942/bunrui.KJ00004649594 .
^ a b c “カラタネオガタマとは?人気な庭木の特徴や育て方、花言葉などを解説!! ”. 暮らしーの (2020年8月28日). 2022年2月11日 閲覧。
^ a b “カラタネオガタマの育て方 ”. 植物図鑑 . LOVEGREEN. 2022年2月11日 閲覧。
^ “Magnolia figo var. crassipes ”. Plants of the World Online . Kew Botanical Garden. 2023年4月8日 閲覧。
^ “Magnolia figo var. figo ”. Plants of the World Online . Kew Botanical Garden. 2023年4月8日 閲覧。
^ “Magnolia figo var. skinneriana ”. Plants of the World Online . Kew Botanical Garden. 2023年4月8日 閲覧。
参考文献
関連項目
外部リンク