カシオペヤ座オメガ星
カシオペヤ座ω星(カシオペヤざオメガせい、ω Cassiopeiae、ω Cas)は、カシオペヤ座にある連星である[7]。見かけの等級は4.99と、肉眼でみえる明るさである[1]。年周視差に基づいて太陽からの距離を計算すると、約728光年である[2][注 1]。
特徴
カシオペヤ座ω星は、20世紀の初めにアダムズによって、視線速度の時間変化が発見され、分光連星と考えられるようになった[8]。それから数年で、多数の分光観測が行われ、詳しい軌道要素も求められた[9]。軌道要素は、軌道周期が69.6日、離心率が0.3、軌道長半径が0.18 au以上である[3]。
カシオペヤ座ω星のみえているスペクトルはB型巨星の特徴を示し、スペクトル型がB8 IIIと分類される[1]。光球の有効温度はおよそ13000 Kであり、光度は太陽の500倍、半径は太陽の5.4倍に相当すると見積もられている[6][5]。カシオペヤ座ω星は、化学特異星の一種である弱ヘリウム星(英語版)に位置づけられる[4]。自転速度がおよそ45.7 km/sと推定され、早期型星としてはゆっくりであるので、大気中の元素の分離が進み、特異性を帯びると考えられる[5][7]。
名称
かつて、カシオペヤ座ω星の符号については、混乱があった[10]。フラムスティードの星表ではバイエル符号のωが使われず、該当部分にはカシオペヤ座c星とd星の2星が収録され、フラムスティード番号は43と46が充てられていた[10]。どちらがω星に当たるかで、BAC星表は43番星とする一方、アルゲランダーは46番星がω星だとした[10]。結局、46番星の方が明るいのでω星にふさわしいというアルゲランダーの主張が支持され、現代ではカシオペヤ座ω星のフラムスティード番号は46番となっている[10][2]。
中国ではカシオペヤ座ω星は、天皇大帝の玉座を覆う笠を表す華蓋(拼音: Huá Gài)という星官を、カシオペヤ座40番星(スウェーデン語版)、HD 7389(英語版)、カシオペヤ座31番星(スウェーデン語版)、カシオペヤ座ψ星(英語版)、カシオペヤ座43番星(スペイン語版)などと共に形成する[11][12][13]。カシオペヤ座ω星自身は、華蓋七(拼音: Huá Gài qī)つまり華蓋の7番星といわれる[12][13]。
脚注
注釈
- ^ a b c パーセクは1 ÷ 年周視差(秒)より計算、光年は1÷年周視差(秒)×3.2615638より計算
出典
- ^ a b c d e f Hoffleit, D.; Warren, W. H., Jr. (1995-11), “Bright Star Catalogue, 5th Revised Ed.”, VizieR On-line Data Catalog: V/50, Bibcode: 1995yCat.5050....0H
- ^ a b c d e f g h “ome Cas -- Spectroscopic Binary”. SIMBAD. CDS. 2024年7月25日閲覧。
- ^ a b c d e Bischoff, R.; et al. (2017-07), “Radial velocity measurements and orbit determination of eight single-lined spectroscopic binary systems”, Astronomische Nachrichten 338 (6): 671-679, Bibcode: 2017AN....338..671B, doi:10.1002/asna.201713365
- ^ a b Gómez, A. E.; et al. (1998-08), “The HR-diagram from HIPPARCOS data. Absolute magnitudes and kinematics of Bp - Ap stars”, Astronomy & Astrophysics 336: 953-959, Bibcode: 1998A&A...336..953G
- ^ a b c d e f Moiseeva, A. V.; et al. (2019-01), “Fundamental Parameters of CP Stars Observed at the 6-m Telescope. I. Observations in 2009-2011”, Astrophysical Bulletin 74 (1): 62-65, Bibcode: 2019AstBu..74...62M, doi:10.1134/S1990341319010061
- ^ a b c Takeda, Yoichi; Kawanomoto, Satoshi; Ohishi, Naoko (2014-02), “On the sodium versus iron correlation in late B-type stars”, Publications of the Astronomical Society of Japan 66 (1): 23, Bibcode: 2014PASJ...66...23T, doi:10.1093/pasj/pst024
- ^ a b Kaler, James B. (2012年10月12日). “OMEGA CAS (Omega Cassiopeiae)”. Stars. University of Illinois. 2024年7月25日閲覧。
- ^ Adams, Walter S. (1912-04), “The three-prism stellar spectrograph of the Mount Wilson Solar Observatory”, Astrophysical Journal 35: 163-182, Bibcode: 1912ApJ....35..163A, doi:10.1086/141924
- ^ Young, Reynold K. (1915), “Orbit of ω Cassiopeiae”, Publications of the Dominion Observatory Ottawa 2 (3): 87-102, Bibcode: 1915PDO.....2...87Y
- ^ a b c d Lynn, W. T. (1890-03), “The Name ω Cassiopeiae”, The Observatory 13: 116-117, Bibcode: 1890Obs....13..116L
- ^ 南澤良彦「漢代の明堂と五帝」『中国哲学論集』第42巻、21-43頁、2016年12月25日。doi:10.15017/1811121。
- ^ a b 伊, 世同, ed. (1981) (中国語), 中西对照恒星图表 1950.0 (星图分册), 科学出版社, p. 1, https://archive.org/details/Ancient-Chinese-Astronomy/%E4%B8%AD%E8%A5%BF%E5%AF%B9%E7%85%A7%20%20%E6%81%92%E6%98%9F%E5%9B%BE%E8%A1%A8%20%201950%E5%B9%B4%20%20%E6%98%9F%E5%9B%BE%E5%88%86%E5%86%8C_11481621
- ^ a b 伊, 世同, ed. (1981) (中国語), 中西对照恒星图表 1950.0 (星表分册), 科学出版社, p. 14, https://archive.org/details/Ancient-Chinese-Astronomy/%E6%81%92%E6%98%9F%E5%9B%BE%E8%A1%A8%20%E6%98%9F%E8%A1%A8%E5%88%86%E5%86%8C%20%E4%B8%AD%E8%A5%BF%E5%AF%B9%E7%85%A71950.0%2010498618
関連項目
外部リンク
座標: 01h 56m 00.0283006680s, +68° 41′ 06.863913852″
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