アリ/ザ・グレーテスト(The Greatest)は、アメリカ合衆国のボクサー、モハメド・アリの生涯を描いた1977年のスポーツ伝記映画である。アリが自身の役で出演し、トム・グライス(英語版)が監督した
[2]。1960年ローマオリンピックから、1974年にジョージ・フォアマンと対戦して劇的なKO勝利を収めヘビー級王座を獲得する「キンシャサの奇跡」までを描く。ボクシングの試合映像は、ほとんどが当時の実際の映像である。
モハメド・アリがハーバート・モハメッド、リチャード・デュラムと共に著し、トニ・モリスンが編集した自伝『世界最強の男―ムハマッド・アリ自伝(英語版)』(The Greatest: My Own Story)を原作としている[3]。
マイケル・マッサーが作曲してリンダ・クリードが作詞し、ジョージ・ベンソンが歌った曲『グレイテスト・ラヴ・オブ・オール(英語版)』(The Greatest Love of All) は、後にホイットニー・ヒューストンがカバーした。
マッサーが作曲した『アリ・ボンバイエ』(Ali Bombaye) は、映画公開前年の1976年に格闘技世界一決定戦で対戦した日本のプロレスラー・アントニオ猪木へアリが寄贈した[4]。猪木はアレンジした『炎のファイター 〜INOKI BOM-BA-YE〜』を入場曲としている。
キャスト
ラーマン・アリ(英語版)、ハワード・ビンガム(英語版)、ハロルド・コンラッド、ドン・ダンフィー(英語版)、ロイド・ウェルズ(英語版)、パット・パターソン、ジーン・キルロイが本人役で出演している。
ルビー・サンダーソンとその恋人で妻となったベリンダ・ボード、一時期アリのマネージャーを務めていたイライジャ・ムハンマドの息子ハーバート・モハメドなど、主要な人物を含めて無名の役どころが多い。
アナゼット・チェイスが演じているベリンダ・カリラ・アリ(モハメド・アリの妻)の役は、当初はロネット・マッキー(英語版)が演じる予定であった[5][6]。
サウンドトラック
全ての楽曲はマイケル・マッサーが作曲し、マッサーとリー・ホールドリッジ(英語版)が編曲している。
Side 2# | タイトル | 作詞 | 作曲・編曲 | 時間 |
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1. | 「Ali Bombaye (Zaire Chant) I」(Masser and Mandrill(英語版)) | — | | |
2. | 「Ali Bombaye (Zaire Chant) II」(Masser and Mandrill) | — | | |
3. | 「The Greatest Love of All」(Masser) | — | | |
4. | 「Variations on Theme」(Masser) | — | | |
5. | 「I Always Knew I Had It in Me」(Benson; version 2) | Goffin | | |
評価
『ニューヨーク・タイムズ』紙のヴィンセント・キャンビーは、「ハリウッドではもうあまり作られていないような魅力的な骨董品」と評価した[7]。『ロサンゼルス・タイムズ』紙のケビン・トーマス(英語版)は、「活気に満ちた楽しいポップな伝記映画であり、手に負えない世界ヘビー級ボクシング王者に対して将に我々に望んでいるイメージを投影している」と評した[8]。『シカゴ・トリビューン』紙のジーン・シスケルは、この映画に4点満点中の2.5点をつけ、「気晴らしになるエンターテイメントとして、『ザ・グレーテスト』は満足以上のものだ」と書いている[9]。『バラエティ』誌のアーサー・D・マーフィーは、「アリはこの映画に権威と存在感をもたらし、ジョン・マーシャルの作品をどんな映画のバイオグラフィーにも内在する限界を超えたものにしてくれた」と述べた[10]。『マンスリー・フィルム・バレッティン(英語版)』誌のデビッド・バダーは、「『ザ・グレーテスト』は、アリの最もよく知られた功績を綴った聖人伝的な作品であり、独特で気まぐれな性格を存分に発揮しているが、その過程で自由に白塗りをしている」と述べている[11]。
脚注
- ^ “Big Rental Films of 1977”. Variety: 21. (January 4, 1978). https://ameblo.jp/ayumi-niwano/entry-12254606587.html.
- ^ Canby, Vincent (May 21, 1977). “The Greatest (1977) Ali's Latest Victory Is 'The Greatest'”. The New York Times. 2021年2月15日閲覧。
- ^ “The Greatest”. www.nytimes.com. 2021年2月15日閲覧。
- ^ フジテレビトリビア普及委員会『トリビアの泉〜へぇの本〜 1』講談社、2003年。
- ^ Lucas, Bob (11 November 1976). “Angry McKee Quits Greatest And Goes To Pryor Film”. Jet. https://books.google.com/books?id=9kIDAAAAMBAJ&q=annazette+chase&pg=PA119 25 April 2016閲覧。.
- ^ “People: June Allyson to wed; Gershwin home saved”. Ottawa Citizen. (27 October 1976). https://news.google.com/newspapers?nid=2194&dat=19761027&id=yckyAAAAIBAJ&pg=3989,5195494&hl=en 25 April 2016閲覧。
- ^ Canby, Vincent (May 21, 1977). "Ali's Latest Victory Is 'The Greatest'". The New York Times. p. 13.
- ^ Thomas, Kevin (May 19, 1977). "Ali Piles Up Points in 'Greatest'". Los Angeles Times. Part IV, p. 14.
- ^ Siskel, Gene (May 23, 1977). "'The Greatest' isn't the greatest, but takes an entertaining jab at it". Chicago Tribune. Section 3, p. 9.
- ^ Murphy, Arthur D. (May 25, 1977). "Film Reviews: The Greatest". Variety. 21.
- ^ Badder, David (September 1977). “The Greatest”. The Monthly Film Bulletin 44 (524): 192.
外部リンク