アセタゾラミド
IUPAC命名法 による物質名
N -(5-(アミノスルホニル)-1,3,4-チアジアゾール-2-イル)-アセトアミド
臨床データ 販売名
ダイアモックス, Diamox Drugs.com
monograph 胎児危険度分類
法的規制
薬物動態 データ代謝 None[ 1] 半減期 2-4時間[ 1] 排泄 尿中 (90%)[ 1] データベースID CAS番号
59-66-5 ATCコード
S01EC01 (WHO ) PubChem
CID: 1986 DrugBank
DB00819 ChemSpider
1909 UNII
O3FX965V0I KEGG
D00218 ChEBI
CHEBI:27690 ChEMBL
CHEMBL20 PDB ligand ID
AZM (PDBe , RCSB PDB ) 化学的データ 化学式 C 4 H 6 N 4 O 3 S 2 分子量 222.24 g·mol−1
O=S(=O)(c1nnc(s1)NC(=O)C)N
InChI=1S/C4H6N4O3S2/c1-2(9)6-3-7-8-4(12-3)13(5,10)11/h1H3,(H2,5,10,11)(H,6,7,9) Key:BZKPWHYZMXOIDC-UHFFFAOYSA-N
物理的データ 融点 258 - 259 °C (496 - 498 °F) テンプレートを表示
アセタゾラミド (Acetazolamide) は、炭酸脱水酵素阻害薬 (英語版 ) の一種である。錠剤、粉末、注射剤があり、商品名はダイアモックス (三和化学研究所 )。
効能・効果
適用と作用機序
アセタゾラミドは主として近位尿細管 で作用し、炭酸脱水酵素 を阻害することによりHCO− 3 の再吸収を抑制する。利尿作用を持ち、心不全 のうっ血解除に有効である[ 2] 。
緑内障 の治療薬としても用いる。毛様体 の上皮細胞 に存在する炭酸脱水酵素を阻害し、房水 の産生減少により、眼圧 を低下させることで緑内障を改善する。[ 3]
内耳 で局所的にリンパ分泌を抑制するためメニエール病 に用いられ、体内貯留水分の排泄や神経系に対する抑制作用による月経前緊張症 の症状緩和効果や、脳内CO2 濃度の局所的増大効果を利用してのてんかん の薬物治療の補助にも用いられている[ 4] :11-12 。
脳脊髄液 の産生抑制を目的に水頭症 の治療に使用される。
即効性が高く、利尿作用を持つ反面、喉が渇く場合もあるので水分補給が必要になる。
高山病予防
アセタゾラミドが腎臓で炭酸脱水素酵素を阻害したために代謝性アシドーシスが起こった結果(副作用が起こった結果)、代償的に呼吸性アルカローシス (肺から炭酸を捨てることで血液のpHを上げようとすること)が起こり、換気応答が促進される。この現象を利用して、高山病 の発生を一定程度予防する効果がある。高山病に対するアセタゾラミドの投与に関するメタアナリシス によると、登山前⽇から到着後3⽇後までの4⽇間、1日2回125mg内服することで、高山病発症リスクを有意に減らすことが報告されている[ 5] 。また、高山病発症後でも、1日2回250mg内服することで症状を緩和することが報告されている[ 5] 。
脳循環予備能検査薬
アセタゾラミドは脳血管拡張作用を持つため、適応外使用ではあるが20年以上にわたり脳循環予備能の評価の際に用いられてきた。しかし急性心不全や肺水腫などの重篤な副作用が発生し、死亡に至る例もあったため、日本脳卒中学会、日本脳神経外科学会、日本神経学会、日本核医学会の4学会からなるアセタゾラミド(ダイアモックス)適正使用合同検討委員会は2014年6月に緊急声明を発表し、検査が必要不可欠な場合にのみ実施すること、患者の同意を得ること、呼吸モニターや心電図モニターなどを実施することを呼びかけた[ 6] 。
禁忌
以下の患者には禁忌である。
肝硬変などの進行した肝疾患または高度の肝機能障害のある患者
無尿、急性腎不全の患者
高クロール 血症性アシドーシス
体液中のナトリウム ・カリウム が明らかに減少している患者
(長期投与禁忌)慢性閉塞隅角緑内障の患者
アジソン病の人
副腎皮質刺激ホルモン剤の投与を受けている人
副作用
添付文書に記載されている重大な副作用は、代謝性アシドーシス 、電解質異常、ショック、アナフィラキシー様症状、再生不良性貧血 、溶血性貧血 、無顆粒球症 、血小板減少性紫斑病 、皮膚粘膜眼症候群(スティーブンス・ジョンソン症候群 )、中毒性表皮壊死症(Lyell症候群)、急性腎不全、腎・尿路結石、精神錯乱、痙攣、肝機能障害、黄疸 である[ 7] 。多尿、過敏症(発疹)、倦怠感、四肢の知覚異常、食欲不振、下痢、腹痛、嘔吐、吐き気、味覚異常、
妊娠マウスを用いた実験では、胎児の死亡や骨形成不全などが観察されている[ 7] 。
出典
^ a b c “Diamox Sequels (acetazolamide) dosing, indications, interactions, adverse effects, and more ”. Medscape Reference . WebMD. 10 April 2014 閲覧。
^ Mullens W, and others. Acetazolamide in Acute Decompensated Heart Failure with Volume Overload. N Engl J Med 2022; 387:1185-1195 DOI: 10.1056/NEJMoa2203094
^ 『新しい疾患薬理学 』Katsunori Iwasaki, Shōgo Tokuyama, 岩崎克典., 徳山尚吾.、南江堂、Tōkyō、2018年、336頁。ISBN 978-4-524-40335-6 。OCLC 1030482447 。https://www.worldcat.org/oclc/1030482447 。
^ “ダイアモックス末/ダイアモックス錠250mg インタビューフォーム ”. 三和化学研究所 (2011年12月). 2015年4月15日 閲覧。
^ a b Low, Emma V.; Avery, Anthony J.; Gupta, Vaibhav; Schedlbauer, Angela; Grocott, Michael P. W. (2012-10-18). “Identifying the lowest effective dose of acetazolamide for the prophylaxis of acute mountain sickness: systematic review and meta-analysis” (英語). BMJ 345 : e6779. doi :10.1136/bmj.e6779 . ISSN 1756-1833 . PMC 3475644 . PMID 23081689 . https://www.bmj.com/content/345/bmj.e6779 .
^ “【緊急】ダイアモックス注射用による重篤な副作用の発生について ”. 日本核医学会 (2014年6月18日). 2014年8月24日時点のオリジナル よりアーカイブ。2015年4月15日 閲覧。
^ a b “ダイアモックス末/ダイアモックス錠250mg 添付文書 ” (2011年12月). 2015年4月15日 閲覧。
参考文献
関連項目
ウィキメディア・コモンズには、
アセタゾラミド に関連するカテゴリがあります。