צ(ツァディ、ヘブライ語: צד״י, צָדִי ṣade)はヘブライ文字の18番目に位置する文字。ヘブライ数字の数価は90。
文字名はツァディク(צדיק、「正しい者」を意味する)とも呼ばれる[1]。
音声
本来はセム語に特徴的な強勢音ṣを表しており、ヘブライ語のティベリア式発音ではアラビア語「ص」(サード)と同様に咽頭化または軟口蓋化された無声歯茎摩擦音(/ᵴ/)であった。
現代ヘブライ語では無声歯茎破擦音/ts/と発音される。
現代ヘブライ語で主に外来語に使用する無声後部歯茎破擦音/tʃ/は「צ׳」と表記される。
起源
この文字の起源は明らかでない[2]。ウィリアム・オルブライトは植物を描いた文字かとする[3]。最古の字形は花を描いた絵文字だったとも考えられる[4]。
語末形
単語の終わりでは「ץ」を用いる。これをツァディソフィート(צד״י סופית)という。
脚注
- ^ キリスト聖書塾編集部『ヘブライ語入門』(第2版)キリスト聖書塾、1991年(原著1985年)、4頁。ISBN 4896061055。
- ^ Geoffrey Sampson (1985). Writing Systems. Stanford University Press. p. 80. ISBN 0804717567
- ^ Joseph Naveh (1987) [1982]. Early History of the Alphabet (2nd ed.). Hebrew University. p. 25. ISBN 9652234362
- ^ Joseph Naveh (2007). “Ṣade”. Encyclopedia Judaica. 17 (2nd ed.). Macmillan Reference USA (Thomson Gale). p. 655. ISBN 9780028659282